鼻スポット療法
上咽頭炎とは?
上咽頭で炎症が起こった状態です
のどは医学的には咽頭と言い、上咽頭・中咽頭・下咽頭に分かれます。そのうち上咽頭とは、咽頭の一番上のエリアで、鼻の奥の部分に位置します。その部分に炎症が起こったものを「上咽頭炎」と言います。
急性上咽頭炎と慢性上咽頭炎に分けられ、急性上咽頭炎は、外から侵入してきた細菌やウイルスが上咽頭部に感染することで、鼻汁、咳、咽頭痛といったつらい症状を引き起こします。
慢性上咽頭炎は、細菌・ウイルスによる持続的な感染に加えて、自律神経の乱れなどにより免疫力が低下することで、上咽頭の炎症が慢性化した状態を言います。
急性上咽頭炎は抗生物質や抗菌薬で治療可能ですが、慢性上咽頭炎の場合は単に抗生物質や抗菌薬を投与しただけでは治らないことが多く、慢性化した病巣からその他の病気や不調をもたらすことがあります。
上咽頭炎では以下のような症状が現れます
- のどの上の方が痛い、痛みが数日間続く
- 鼻の奥の方に痛みを感じる
- 鼻の奥にねばねばした鼻水や痰がつまっている
- のどの方に鼻水が垂れている
- のどの奥が乾燥しているように感じる
- 頭痛
- 頭重感
- 鼻水・鼻づまり
- 咳
- 肩こり・首のこり
- めまい
- 体のだるさ
など
鼻スポット療法
鼻スポット療法とは?
鼻スポット療法とは、上咽頭(鼻から繋がるのどの上部)に綿棒で直接薬剤を塗布することで、のどのつらい症状を抑える治療法です。
上咽頭にはアデノイド(咽頭扁桃)というリンパ組織が存在しているため、感染による炎症が起こりやすくなっています。鼻スポット療法は上咽頭を直接治療するため、のどからくる風邪や、後鼻漏、頭痛を伴う肩こりなどの症状に効果的です。
鼻スポットはこれらの症状に有効です
- 鼻水がのどの方に流れる感じがするく
- のどから始まる風邪症状
- 鼻からのどにかけて、ねばねばしたものがつまっている
- しつこく痰がからむ
- のどの痛み・違和感
- のどのイガイガ感
- 咳が止まらない
- のどの不調に伴う肩こり・首のこり・頭痛・頭重感
- げっぷ・胸のつかえ
など
鼻スポット療法の効果
風邪を引いた時、多くは上咽頭に炎症を起こしています。鼻スポットとは、鼻咽腔の頭文字で、上咽頭のことを指します。
鼻スポット療法は、塩化亜鉛を染み込ませた綿棒で上咽頭を擦過することにより、炎症を抑え、病巣の殺菌を行います。処置自体も1分程度で済むため、負担の少ない治療と言えます。
また上咽頭のみに処置を行うため、妊娠中・授乳中の方でも安心して受けていただけます。単体で行うよりも、現在行っている治療に補助的治療として取り入れることをおすすめしています。
炎症部分を綿棒で擦るため、処置後しばらくはヒリヒリした感覚が生じることがありますが、徐々に治まるのでご安心ください。
鼻スポット療法は風邪症状のみでなく、後鼻漏の症状にも効果的です。通院は1~2回/週が目安となります。
鼻スポット療法に関する注意点
鼻スポット療法では、上咽頭部を薬剤の染み付いた綿棒で擦るため、炎症の強い方の場合、ヒリヒリ感や痛み、それによる頭痛が現れることがあります。また治療後1時間程度は、鼻水や痰に血液が混ざることもありますが、いずれも一時的なものですので、ご安心ください。
稀にですが、治療後アトピー性皮膚炎などの皮膚症状が現れることもあると言われています。
鼻スポット療法に関しては、補助的治療という位置付けになっておりますので、現在行っている治療と並行して受けていただくことをおすすめしています。また当院では、安全上、高血圧の患者様・ワーファリン内服中の患者様に対しては、鼻スポット療法の実施を差し控えさせていただいております。